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読む大槌孫八郎商店

まごはち取材録|米鶴farmさんに行ってきました。

米鶴farmファームさんは、大槌町で三代続いてきた農家。ピーマンの栽培や酒米づくりに取り組んでいますが、中でも最近ホットな商品が、手づくりの味噌。初代の芳江よしえさんから受け継いだ、地域に伝わる昔ながらの手法で生み出す味噌の味を、二代目の上野昭子あきこさんと三代目の千鶴ちづるさんが今に伝えています。

千鶴さんは上野家のお嫁さんになったとき「こんなにおいしい味噌があるんだ!」と感動したのだとか。昭子さんの味噌づくりを手伝ううち、その奥深さにも惹かれ、三代目として味噌の味を受け継ぐことを決意しました。

これまではお得意様への販売や受注生産がメインだった“上野さん家の味噌”ですが、「もっとたくさんの人にこの味をお届けしたい」という思いから、千鶴さんが中心となりブランディングや商品化を模索。そして生まれた千味噌は、町内外で評判を呼び、地元の産直などで人気の商品となりました。

取材に伺ったのは、今年の3月のこと。
大槌町では一番寒さの厳しい時期に行われる、味噌の仕込みの風景を取材させていただきました。

米鶴farmさんの畑と田んぼ、味噌づくりの作業場があるのは、大槌町の沢山地区。
地区を見下ろす小高い山の上には、小中一貫教育校である大槌学園と、県立校である大槌高校があります。
大槌町民からは大高おおこうと親しまれる大槌高校は「大海を航る、大槌ハンマーを持とう!」をコンセプトに魅力化に邁進中。生徒一人一人が興味があることを研究・実践するマイプロジェクトや、東日本大震災の実状や教訓を次世代に繋ぐ復興研究会の活動のほか、全国から生徒を募る“はま留学”にも力を入れています。

岩手県立大槌高等学校
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さてさて。
学び舎へと続く通学路を外れ、注意深く車を走らせていくと……。
米鶴farmさんの畑と作業場が見えてきました。

作業場には、大豆の煮える香ばしい匂いが満ちています。
出迎えてくれたのは、二代目の昭子さんと、煉瓦の竈。
どっしり収まっている釜にも、人の思いと歴史ありです。
(この辺りのエピソードはぜひ、米鶴farmさんの「生産者」ページをじっくり読んでいただきたい……! 記事の最後にリンクを繋いでおきますね)

昭子さんの明るいお人柄と軽快なトークに、
ついついお話が盛り上がってしまいました。
火を落としてから数時間経っているそうですが、触れるとまだ熱い竈。

三代目の千鶴さんとの連係プレーで、流れるように作業が進んでいきます。

ふっくらツヤツヤにゆで上がった大豆。
粒が大きい、遠野産ナンブシロメを使用しているそうです。
千鶴さんが手際よく、大豆をミンチマシーンに入れると……。
にゅるにゅるっと出てきました!
ケーキ屋さんのモンブランを思い出す光景です(笑)

ここで登場したのが、ごとう商店さんの米麹。

大正時代に創業し、東日本大震災から復活を果たした麹屋であるごとう商店さん。
米鶴farmの田んぼで育てた「あきたこまち」を、伝統的な製法で米麹に加工してもらっているそうです。
全身を使って、豆と塩と麹を混ぜ合わせます。
千鶴さんは麹をほぐすところから始めていましたが、昭子さんは一気に混ぜ混ぜ。
足腰にくる体勢の中、パワフルで淀みない手つき……さすがは“師匠”です。
ぎゅっとまとめて、樽にペチンと投げ入れる千鶴さん。こうすることで空気を抜くのだそうです。
大変な作業ですが「ストレス発散にいいかも」とにっこり。

重さを量りながら樽に分け入れ、1年2か月ほどかけて熟成されます。

もうすぐ食べごろを迎える味噌がこちら。深い色味と香りをしています。
これが“上野さん家の味噌”と長く親しまれてきた、米鶴farmさんの味噌……!

実は筆者の家でも現在、米鶴farmさんの味噌を使っています。
最後に、個人的なおすすめメニューをランキング形式でご紹介。

〇第3位……味噌きゅうり
キンキンに冷やしたきゅうりを添えて。この夏の酷暑は、これで乗り切りました。
(大槌町でも連日、熱中症軽快アラートが発令されていました)

〇第2位……焼きおにぎり
お酒で少し溶いて塗ったら、オーブントースターに入れるだけ。冷ご飯もごちそうに!
反射式ストーブや薪ストーブの上でこんがり炙りたいから、早く冬になってほしい。

〇第1位……お味噌汁
試食させてもらってから、出汁も具もいれない“ストレート”にもドはまり。
時間の無い朝は、マグカップに熱湯を注いで一杯。たまらんです。

“上野さん家の味噌”こと「※商品名」、どうぞお試しあれ!
※商品リンク

昭子さん、千鶴さん、お忙しい中ありがとうございました!
今回の取材をもとに作成した米鶴farmさんの「生産者」ページはこちら。

https://magohachiro.jp/?mode=grp&gid=3110223