たかのり海産さんは、築地で働いていたご主人が手掛ける鮮魚の卸売りと加工の会社。確かな目と経験を活かして仕入れる三陸の新鮮な魚介類と、海の恵みを無駄なく使った加工品は大槌から全国へ出荷され、そのおいしさを今日も発信し続けています。
今回は鮮魚や水産加工品を手掛ける事業者さんを対象とした「生産者」ページの取材で伺ってきました!
たかのり海産さんが加工場を構える大槌町赤浜は、町のシンボルである蓬莱島がある地域。
大槌湾にぽっかり浮かぶ蓬莱島は、NHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルの一つとも言われ、町民からは「ひょうたん島」の愛称で親しまれています。
島にある弁天神社には弁才天像が祀られており、古くから漁師さんたちは大漁と船の安全を祈願してきました。1953(昭和28)年には灯台が設置され、蓬莱島は船の行き来に欠かせない存在に。しかし、東日本大震災でその灯台が根元から倒壊。再建を目指す中で町民からデザイン案を募り、現在の姿となりました。丸い灯りは、水平線から昇る太陽と輝かしい大槌の未来を。くびれた円柱は、復興を目指して時を重ねていく決意を砂時計の形で表わしているのだそうです。
加工場に到着し「すみませーん」と辺りを見回すと、
フォークリフトを操る店主の佐々木貴範さんの姿がありました。
「うわぁ…本物だぁ…」
思わず口に出してしまいました。
だって、ここは聖地なのです。
え…?ご、ご存じないのですか?
大槌町のオリジナルアニメ「大槌カイ物語-Departure 出航-」を。
そしてたかのり海産さんの加工場と商品が登場し、佐々木さん本人がアニメキャラクターとして出演していることを…!
物語の中で、たかのり海産さんを訪れた主人公の大槌カイくん。
味見したカイくんが目をキラッキラに輝かせた商品が「なんちゃってスモークサーモン」です。
大槌で養殖されたサーモンの生のおいしさを活かすため、燻製にするのではなく、燻製風味のタレに付け込んだ一品。なので“なんちゃって”スモーク。このおちゃめでキャッチーな商品名も、佐々木さん自ら考案したのだとか!
リピーターが多い病みつきの一品で、お酒がすすむことはもちろん、私は白いご飯と一緒に食べるのが大好きです。
なんと、カイくんのアクスタが付いてくるセットもあります!
大槌町では、復興支援をきっかけに声優さんやマンガ家さんたちとの交流を深めてきたことから、アニメやマンガなどのサブカルチャーを通した町おこしにも取り組んでいます。
町民有志が交流しながら独自の企画に取り組んでいる部会があり、もともとアニメ好きだという佐々木さんもメンバーの一人。町のショッピングセンターであるシーサイドタウンマストでミニ四駆のイベントを開催したり、「尊い」「神!」などの“共感シール”で交流できるファンアートギャラリーを設置するなど、自分たちも楽しみながら活動をしているそうです。
「ただの憧れとか、好きって気持ちで色々やってるだけだよ」と、照れくさそうに話す佐々木さん。
実は取材の後、佐々木さんのご厚意に甘え、部会の集まりを見学させてもらうことに。皆さん少年のように目を輝かせてアニメの魅力を語り合い、時に熱く意見を交わしながら新しい企画を練っておられました。
「なんちゃってスモークサーモン」を始め、大槌町の文化を伝える「海のジビエ缶詰(リクゼンイルカ大和煮)」など、オリジナリティー溢れる商品を生み出している佐々木さん。そして佐々木さんが仲間とともに取り組む部会の活動…。これからますます目が離せません!
佐々木さん、お忙しい中ありがとうございました!
今回の取材をもとに作成したたかのり海産さんの「生産者」ページはこちら。
大槌町のアニメに関する取り組みはこちら。
大槌町観光交流協会HP「大槌町アニメ・マンガコンテンツ」ページ
2024年4月にお披露目された新作アニメ「大槌超神楽ダイハンマー」YouTube