タイヨーさんは70年を超える歴史を持ち、鮮魚の冷蔵・運送を担う中で、加工まで手掛けるようになった大槌の水産品のスペシャリスト。三陸の魚介類のうま味や風味、食感をより引き出す味付けを日夜研究し、多彩な商品を生み出しています。
今回は鮮魚や水産加工品を手掛ける事業者さんを対象とした「生産者」ページの取材で伺ってきました!
タイヨーさんの加工場があるのは、大槌町の港町という地区。
名前のとおり、コの字型の港を囲むように広がるエリアで、その多くを占めるのが「海づくり記念公園」です。1997(平成9)年に開催された「全国豊かな海づくり大会」の跡地に整備された公園で、現在も「岩手大槌サーモン祭り」の会場などで活用されています。
「全国豊かな海づくり大会」は当時の大槌町にとって一大イベント。当日の盛り上がりはもちろんのこと、カウントダウンとして様々なイベントが行われるなど、町を挙げての取り組みとなりました。花壇を整備したり、各家庭にロゴシールが貼られたプランターと花の苗が配布されたり、100日前記念として町民演劇の公演があったり…。町の中が活気づいていたことを、幼心に覚えています。
大会の式典の中で、当時の天皇、皇后両陛下がマツカワやヒラメの稚魚を放流されました。
― 放たれしまつかはの稚魚は大槌の海の面近くしばしただよふ
天皇陛下がその時の思い出を詠まれた短歌を刻んだ碑が公園内に建てられましたが、東日本大震災で流失。瓦礫の山の中から発見されたのは翌年のことでした。復興工事が終わるのを待ち、よみがえった「海づくり記念公園」に再び設置されています。
さて、出迎えてくれたのは、代表取締役の中村邦彦さん。
中村さんは、祖父と父から会社を受け継ぐ三代目です。
タイヨーさんといえば、この豊富な商品のラインナップ…!
なんと全て中村さんのアイデアから生まれたのだそうです。
「思いついたら、まずやってみる性分だからさ」と照れくさそうに笑う中村さん。
普段から料理が好きで、自分ならどういう味で食べたいか…といった視点も大事にしているそうです。
大槌の港に揚がった魚のおいしさを、余すことなく皆さんに味わってもらいたい…。
豊富なラインナップの中でも、そんな中村さんの思いがつまった商品と言えばやはり「漁師めしの素 三陸仕込みの炊き込みご飯」。
一度食べたら忘れられないおいしさとして全国にリピーターを持つ商品です。
たこ、かき、たい、ほやの全4種。うれしいセット売りはもちろん、単品(味ごとの2個セット)も。
ご飯と一緒になったときに食感が良くうま味が強い具材の大きさ、スチーム調理の際に出ただし汁も丁寧に濾して加えるなど、中村さんの情熱が光ります。
これまで中村さんは、アユやヒラメ、チョウザメの養殖にも取り組んでいたそうです。
「思いついたら、まずやってみる」と話していた中村さんに、そのパワーの源について尋ねると「やっぱり、大槌の海と魚が好きだから」と、少年のような瞳で話してくれました。
取材を通してお人柄に触れ、中村さんの思いや情熱がタイヨーさんの商品を…お客様に愛されるおいしさを作り上げていることを実感した一日でした。
タイヨーさん、お忙しい中ありがとうございました!
今回の取材をもとに作成したタイヨーさんの「生産者」ページはこちら。