石山水産

伝統と革新で、三陸の海の幸を“おいしさそのまま”お届け

大槌川が湾へと注ぐ河口付近に工場を置く石山水産さんは、創業150年を超える歴史ある水産加工会社。魚の鮮度を保ったまま急速冷凍が可能な「リキッドフリーザー」を用い、冷凍が困難とされてきた三陸産の生シラスやイカ刺しなどを商品化。品質にこだわり抜き、世界も認めた三陸の魚介類を皆さんの食卓にお届けしています。

7商品
三陸寒さばふんわり干物、やわらかイカ冷風干しカット、やわらかイカみりん漬け

ふるさとへの思いを、旬のうま味に閉じ込めて

石山水産さんの商品は、三陸の魚介類が持つ旬のうま味をそのままぎゅっと閉じ込めたものばかり。
それを可能にする高い技術や設備はもちろん、そこには人の手があってこそ。
背景にあるのは、おいしさを追求し続ける情熱と、ふるさとに暮らす人々を元気にしたいという願い。
そして、三陸の海とともに生きる思いを伺いました。

大槌サーモン漬け丼の具

三陸の魚を世界へ届ける、高い技術と設備

大槌のお隣・山田町に本社を置く石山水産さんは、1868(明治元)年、地域の魚屋さんとして創業しました。1978(昭和53)年に会社を設立。三陸で獲れた魚と、その鮮度へのこだわりは、150年を超えて受け継がれる魂です。

しかし、大槌町の工場が東日本大震災により流失。2代目社長の石山勝貴さんが中心となって奮闘し、2016(平成28)年に再建を果たしました。併せて、水産加工と冷蔵冷凍を担う設備に加え、魚の細胞を壊さず急速に冷凍する装置「リキッドフリーザー」を導入。パックした食材を−30℃の液体に浸して冷凍するため、冷たい空気を用いるよりも圧倒的なスピードかつ、鮮度・味・見栄え…全てが高品質。中国、ベトナム、インドネシアへの輸出も手掛けており、三陸の魚介類を最高の状態で国内外へお届けしています。

その高い品質で、多くの人を驚かせたのが「三陸 生しらす」です。三陸のシラスは小女子の養魚で、一般的なイワシの養魚よりも薄黒い光沢があり、一匹一匹しっかりとした食べ応えがあるのが特徴。漁師さんや地元の人たちが心待ちにする春の魚の一つで、大槌町にもかつて朝獲れをリヤカーで売り歩く商人が居たのだとか。しかし、生のシラスは身が崩れやすく冷凍が困難だったため、長らく隠れた絶品とされてきました。
そんな三陸のシラスを、石山水産さんは「リキッドフリーザー」を用い、形も風味も損なわずに冷凍。商品化に漕ぎつけた「三陸 生しらす」は、全国のお客様に季節を問わずお楽しみいただける革命的な一品です。

大槌工場の工場長を務める浅田誠さん

“おいしい”魅力を発信し、ふるさとを元気に

三陸の海が育んだ魚のおいしさは、ふるさとの魅力。商品を通してその魅力を発信することで多くの関心を呼び、住む人たちを元気にしたい…。世界を見つめる石山水産さんだからこそ、地元への思いもひとしおです。
岩手県に甚大な被害をもたらした2019(令和元)年の台風19号。復旧を目指す三陸鉄道とコラボし「食を通じて三陸を元気に」という思いのもと、翌年の全線運航再開に合わせて開発したのが「漬け丼の具」シリーズでした。
技術と設備を惜しみなく注ぎ、無添加かつ素材の鮮度が際立つ味付け。ブリ、タラ、大槌町のご当地サーモン…それぞれ醤油とゴマの味があるラインナップの豊富さも売り。今では道の駅などでも人気の看板商品となりました。

それらの商品開発を手掛けるのは、大槌工場で現場長を務める浅田誠さん。東日本大震災からの大槌工場再建に尽力し、被災して職を失った方々になんとか仕事を作ろうと奔走してきた一人でもあります。
浅田さんの「漬け丼の具」おすすめポイントは、解凍してすぐに食べられて、白ゴマやネギなどの薬味で化けること。「ほかほかのご飯にのせたら、まずはそのまま食べて、魚の新鮮さを堪能してもらいたいです。薬味を色々変えて楽しんだ後は、だし茶漬けでシメ。たまらないでしょ?」とにっこり。
自分自身もおいしい、食べたいと思う商品を作ることを大切にしているという浅田さん。「見かけるとつい手に取ってしまう…そんなクセになる商品を目指し、これからも更に味を追求してレベルアップしていきたいです」と、照れくさそうに話してくれました。

石山水産さんのお刺身しめさばスライス/お造り用炙りしめさば
脂がのった旬の真さばをリキッドフリーザーによる高鮮度凍結で仕上げた、しめさば
石山水産さんのやわらかイカセット
グリルやフライパンで焼くだけで手軽に食卓の一品になる、やわらかイカのセット
石山水産さんの三陸生しらす
三陸のしらすは小女子。しらすのような繊細な食材もリキッドフリーザーでは冷凍可能

変わりゆく海と、ともに歩む道を拓きたい

海水温の上昇などを背景に、獲れる魚が大きく変化している三陸の海。大槌でも年々、フグやマダイなどの漁獲量が増えていますが、これまでに無い魚種は扱いも手探りです。店頭に並べても地元の人が手に取らないなど、漁師さんや魚屋さんに戸惑いが広がっています。それでも、三陸の魚と鮮度にこだわり続ける石山水産さんの姿勢は変わりません。

どうやって新しい魚に価値を持たせるか、浅田さんたちは向き合い続けています。
「旬はいつだ、どう調理するか…。まずはその魚を知って、漁師さんやお客さんに『うめぇんだぞ』って伝えていかなければ」。 漁師さんに価値が広まれば漁獲量が増し、鮮魚だけでなく加工品も増えていくかもしれません。取り扱うお店も増え、よく目にする魚になれば、地元の人も自然と受け入れてくれるのではないか…。浅田さんが思い描くのは、そんな地域の循環です。
「商品としてお客さんが手に取ったとき、初めて生業になる。そのための技術や機械であり、それを扱う私たちだからこそ、できることがあると思っています」と噛み締める浅田さんの胸には今日も、ふるさとへの思いが灯ります。

石山水産

Ishiyama-Suisan

大槌工場現場長・浅田さんは、いつでも新商品のアイデアを考えているそうです。スーパーで見かけた食材やご家族が作る料理がヒントになったり、なんと夢の中で思いつくこともあるのだとか。ちなみに「漬け丼の具」の薬味は、ミョウガ推しとのこと。ぜひお試しあれ。

石山水産株式会社 大槌工場
〒028-1105 岩手県上閉伊郡大槌町安渡1丁目66
TEL 0193-42-3770
7商品