タイヨー

三陸の魚の変わらぬおいしさを引き立てる情熱とこだわり

大槌町の港町に加工場を持つタイヨーさんは鮮魚の冷蔵・運送から水産品の加工まで手掛ける地域のお魚屋さん。
新鮮な海の幸が持つうま味を引き立て、余すことなく堪能できるシンプルな味付けは、大槌の海とともに70年以上続いてきたからこそ。
スチームを使った調理法やおいしさを追求した包装など、ご主人の情熱と細やかなこだわりが光ります。

4商品
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三陸仕込みの炊き込みご飯 タイヨーさんの漁師めしの素

追い求めるのは、ふるさとの海に胸を張れる味

三陸の魚介類のうま味や風味、食感をより引き出す味付けを日夜研究し、多彩な商品を生み出してきたタイヨーさん。
常に一歩上のおいしさを目指し続ける背景にあるのは、たくさんの人にこの味を届けたいという思い。
大槌の海と魚への深い愛を伺いました。

タイヨーさんの三陸産燻製牡蠣のパスタソース山椒味

鮮魚を運び加工する、二つの視点で地域を繋ぐ

1944(昭和19)年に創業し、70年を超える歴史を持つタイヨーさん。鮮魚の冷蔵・運送を担う中で、加工まで手掛けるようになった大槌の水産品のスペシャリストです。代表取締役の中村邦彦さんは、祖父と父から会社を受け継ぐ三代目。中村さんのご家族を中心とした従業員さんたち数名で、ひとつひとつ商品を手作りしています。幼い頃から海に親しみ、大槌を愛す中村さんが大事にしているのは、地元の事業者さんたちとの繋がり。鮮魚や加工品を飲食店さんに卸したり、地元の産直や近隣の道の駅での販売にも取り組んでいます。

運送業と水産加工、両輪で取り組む会社ならではの活躍となったのが、2021(令和3)年に始まった「岩手大槌サーモン祭り」です。大槌町内で養殖したギンザケやトラウトサーモンをPRするためのイベントで、前身である「おおつち鮭まつり」時代からの名物は「つかみ取り」。タイヨーさんは「つかみ取り」用の活きのいいサーモンを会場まで運び、ホタテやカキの浜焼きを販売したほか、時には釣り堀を設置するなどイベントの黎明期を支えました。

タイヨー 店主の中村邦彦さん

「食べたい」と自ら太鼓判を押せる商品を作る

これまで多彩な商品を手掛けてきたタイヨーさん。全ては中村さんのアイデアから始まります。もともと料理好きな中村さんは「手軽にいつでもおいしく食べたい…。そういう、自分で料理して食べるときの感覚は絶対忘れちゃいけないと思っています。商品はみんな、俺好みの味になってんのかもね」と照れくさそうに笑いました。

そんな思いを象徴する商品の一つが、茹でたパスタにからめるだけの「燻製牡蠣のパスタソース」。市場から仕入れた三陸産の新鮮なカキが持つ本来の味と塩味を軸に、オリーブオイルやにんにく、山椒などで食欲をそそる味に仕上げました。食材のうま味と香りがお皿の上で引き立つよう、具材のカキと液体ソースとに分けて包装していることもこだわりです。

お米と一緒に炊飯器に入れるだけで大満足の炊き込みご飯が出来上がる「たこ飯」や「ほや飯」などの漁師めしの素は、中村さんおすすめの人気商品。一度食べたら忘れられない味として、根強いファンもいるそうです。おいしさの秘訣は、研究の末に辿り着いた具材のサイズ。一番食感が良くうま味が出る大きさに、中村さん自ら切り分けています。スチーム調理の際に出ただし汁も丁寧に濾して加え、素材のうま味を余すことなく詰め込んだ逸品です。

「大切にしているのは、俺たち地元の人間が普段感じている素材そのもののおいしさを、皆さんに感じてもらえるような味つけです。商品全部、タイヨーの自信作。まずは一回食べてみてさ!」と、中村さんは熱い思いを込めました。

三陸産のふぐ
三陸産の天然フグは種類も様々で、どれもしっかりとした弾力が持ち味
下こしらえされた地元の産直用の鮮魚。店頭ではおすすめの食べ方も書かれている
市場での入札に使う札の丸に元はお祖父様のお名前から取った
タイヨーさんの三陸の天然ふぐグラタン

大槌の海と魚が好きだから、手間と苦労はいとわない

近年、海水温の上昇などを背景に、これまで獲れていたサケやサンマなど三陸を代表する魚の不漁が続いています。かつてを振り返り「市場に揚がった山のような魚を、次から次へと積んでは降ろし…忙しかったあの頃がまるで夢のようだ」と話す中村さん。
そんな折、中村さんが目を留めたのは、逆に漁獲量が増えているフグです。しかし扱いが難しく、地元の漁師さんや魚屋さんはなかなか活用できずにいました。三陸の海がもたらした貴重な恵みを前に、中村さんは「たとえどんな魚でも無駄にしない」という思いのもと奮起し、フグの調理師免許を取得しました。

加工場の一角にはフグに関する書籍や魚の図鑑が何冊も並んでいます。ヒガンフグ、ゴマフグ、マフグ、コモンフグ、シマフグ、ショウサイフグ…年間を通して獲れる三陸産の天然フグは種類も様々ですが、どれもしっかりとした弾力が持ち味。商品化を目指し試作と試食を重ねる中で、ホワイトソースとの相性の良さに着目して生まれたのが「ふぐグラタン」です。じゅわっと香ばしいチーズの下には、しっとり仕上げた大きな身がゴロゴロ。具材にするフグの種類は旬に合わせて選ぶため、安定して商品を作ることができ、季節によって微かな食感の違いがでることも魅力の一つになりました。

「一生懸命やってるねと、よく言われます。もちろん苦労も多い。それでもなんでやるのかと聞かれたら…。やっぱり俺は、大槌の海と魚が、好きなんだべなぁ」と、加工場を見渡す中村さん。今では、中村さんが捌いたフグを使って加工品を作るお店も出てくるなど、町内の事業者さん同士の連携にも繋がっています。
「これからも大槌や三陸の魚を使っておいしい商品を作り、地元の人も全国の人も、みんなに喜んでもらいたいです」と、中村さんは力強く腕を組みました。

タイヨー

Taiyo

娘さんは機械の扱いも手慣れたもので、今では会社の屋台骨。中村さんは嬉しそうに見守る半面「やりたいことを続けてもらえるのが一番だべね」と、父親の顔を浮かべました。今日の大槌の浜風は、やけに目に沁みる。タイヨーさんの「三陸大槌海鮮玉手箱」をお土産に、今度こそ親孝行しようかな…。

タイヨー株式会社
〒028-1103 岩手県上閉伊郡大槌町港町86
TEL 0193-42-3740
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